古本屋の宿命

私が古本買取でいくらか手がけた分野は近代文学と子供のマシガ本である。とくに文学書の分野について思う時、戦後文学、それも発行の浅い昭和四十年以降のものを例外とすれば、 一言で言うと、 一貫して値上りの歴史であったと言っても過言ではないと思う。そうして依然として各デパート展の目玉商品から、古本買取をするのであります。
では文学書を扱っている個々の古本屋は大いに潤っているか? 私は潤つてなどいないと思う。
古本を買って売って、金は入る。その閉じ本を仕入れることが出来ないのが古本屋の宿命です。やっと売ったと同じ程度の本に市場でお目にかかる、もうその本は売った値でさえ買うことが出来ない。五千円で売ったものが、五千円でやっと仕入れられる。振り返って思うに、 わが古本業界とデパート展など展覧会にもっとも古本の良書が、そして今
思えば全く信じられない値の安さであふれたのは昔の事とと私は思う。