非対面取引きについて

 

古物営業法では、公安委員会に届けられている古物商自身の「営業所」か、「相手方の住所若しくは店所」でしか、買い受けるために古物を「受け取る」ことをしてはならないことになっています(第一四条第一項)。

しかし、最近では通信販売の隆盛に伴って、宅配便を利用した中古品の処分を望むお客様が増えています。そのため古物営業法が一部改正され、非対面での買い取りを可能にするためのルールが作られました。確認には手聞がかかりますが、これによって通信での買い取りも合法的に可能になりました。

この場合、お客様から依頼を受けた古書店が身元確認の手続きをしたあと、宅配業者が本を集荷し、古本屋の営業所で査定をおこなってその金額を柑手方に伝えます。それで折り合いがつけば、銀行振り込みなどで代金を支払って取り引き完了という流れになります。

こうした通信買い取りは、いわば店買いと宅買いの中聞のような取り引きで、お客様は本を箱詰めにして玄関まで運んでおけばいいだけです。また買い取る側の店としても、自分の営業所で、必要があれば資料などを援用しながらじっくり査定できるという利点があります。ただし、分量としては千冊程度が限度で、引っ越し用の段ボール一箱に五十冊が入るとしても、二十箱がせいぜいでしょう。

その逆に、分量が少ないと、送料倒れになってしまう可能性もあります。ある程度分量がまとまらないと、取り引きは難しいのです。一方、こうした通信買い取りのデメリットは、来店するお客様とは違って、店の傾向に合った本を送ってくれるとはかぎらないことです。

古本屋側としては、買い取りまでのプロセスをわかりやすく説明する、送料を負担するなど、他店との差別化をはかつて、集客に努めなければなりません。ある傾向のものを集中的に仕入れるには、あとで説明する市場からの仕入れのほうが効率的ですが、市場に品物が出品されるためには、その前段階として、その本を一般のお客様(業界の外)から仕入れる業者が必要です。その意味でも、一般のお客様からの買い取りは、古本を扱う商売では決して軽んじることができない、基本中の基本なのです


これからの古書店を考える

どんな形態の古本屋を持つにしても、1番のポイントは価格競争に巻き込まれないようにすることです。専門店やセレクトショップは安い値段で古本を買い取るようなことをしてはいけません。それでも売れるのは、その古本になんらかの付加価値をつけているからです。一方、発見型総合古書店の売値は安いです。なぜなら、ここでは、最高値になる市場ではなく、一般のお客様からの仕入れを重視することで成り立っているからです。自分がどのような古本屋をやりたいのか、明確にビジョンを持つことも大切です。目標にしたい古本屋を見つけて真似してみるのもいいでしょう。経営をその古本屋はどのように成り立たせているのかという視点からじっくり観察してください。長く商売を続けている古本屋であれば、必ずどこかで利益を生むシステムがあるはずです。


回転率を上げる

雑本の店頭販売では単価が安い本が中心になります。この場合、店番が一人で毎日数百冊を売る ことも可能です。そこで次に考えるのは、ともかく回転率を上げることです。

店頭売りでは通販の場合と違って、なかなか売れないものは置けません。魅力的な古本を多くして 売れにくい古本は棚から抜き、値段が高くても動きが悪い古本は置かないようにするのです。そうすれ ば当初の想定よりも店舗がある程度狭くとも、経営はスムーズにいくでしょう。 ただし、営業時間中には必ず店番がいなければなりません。場合によっては人を雇う必要も出て きます。


落丁の見つけ方

古本のなかには、ときどき欠陥がある本もあります。代表的な欠陥は、落丁です。 普通、落丁とは製本時のぺージの欠落を指していますが、古本屋では、持ち主が切り取るなどしてぺ ージが欠落している場合があります。古本屋は、版元に責任が ある落丁を元落と呼んで、あとで生じた落丁と区別しています。最近の本では元落はほとんどありませんが、以前の本には、ときに元落がありました。江戸時代より前の本になると、 けつこうな確率で出てきます。 また、乱丁といって、ページ数に不足はなくても、順番や印刷の向きが間違っている場合があります。 昔の古本屋は、本を見ずに手だけでぺージを五枚(十ページ)ずつ繰って落丁を確認していたそうです。


古本屋での本の分類

図書館のような古本の分類の仕方は、本の貸し手と借り手が共通認識をもっている場合に成立することであり、古本屋はそうではないからです。古本屋に足を運ぶお客様の目的や意図は各々違います。そこに図書館のように一律のルールを敷くことはできませ ん。 古本屋がいちばん念頭に置かなければならないことは、商品のプレゼンテーションです。つまり、 お客様に本を買いたいと思っていただくことが最大の目的であって、これは図書館のような検索的な対応とは異なります。 とはいえ、本をディスプレーするにあたっては、ある程度の交通整理が必要です。